Essay

最も小さなアート 手描きグリーティングカード

2020.12.13

画家としてデビューする前、ふと立ち寄った開店前の花屋がとても気に入り、フローリストにロンドン花修行の話を聞くのが楽しくて、度々お邪魔していたことがありました。

当時、最もミニマムなアートとして、手作りカードが外国で密かな人気で、とても興味を持ったのです。

しかしアートですから、かなりのクオリティのものが多く、なかなかあなどれないものでした。

私の活動のひとつとして、この最もミニマムなアートである手描きグリーティングカードを作って、販売してみようと思ったのです。

部屋を整理していたら、たった1枚当時の残ったカードが出てきました。

花屋は、名古屋伏見にあるVIBURNUMさんです。

ロンドンでは、カードが日常的に使われていて、それで生活できるぐらい売れるという話を聞き、夢を膨らませたものでした。

そして、1枚、また1枚と描いてはお店に持っていきました。

手描きカードは、1000円から2000円はするため、花を10000円以上買われる方がカードも買っていかれたそうです。

懐かしいものが出てきたので、水彩画を習ってみたい方と一緒に作ってみようかと思いました。

この時、数名のアーチストと一緒に販売していましたが、私のグリーティングカードだけ売れたそうで、その時から、なんとなく売れるんだなあという感触を得ることができました。

VIVERNUMさんのブーケは、透明フィルムで巻いて、テーブルの上に立てるというスタンド型でした。またフィルムの先端に英語文字がかっこいいと思い、数点ブーケも買って描きました。グラフィックデザインもできる方が、フローリストになっているお店は、ラッピングがとてもお洒落です。看板のロゴやマーク、ラッピングデザインに至るまで、フローリスト本人がやってしまうのです。花屋というのは、デザインがとても重要なので、考えてみれば当たり前のこととも言えますね。

さて、私の小さな挑戦としての、手描きグリーティングカードは小さく成功し、大きなブーケと共に売れて、しばらくしてこの活動を終了し、ジクレー版画発売へと次のステップに進めたのでした。

※この水彩レッスンは、レッスンページで詳細が見られます。